/ コンテンツ - 本
短編小説「3年、30年」(16)
 2024年作


 次の日、僕は朝早く大学に向かった。
 ソルミに会うにはちょっと後ろめたい気もあったが、早く会って見たい思いがしたのも事実である。
 ソルミに会って打ち明けられるものはすべて打ち明け、また、許すならためらうことなく謝りたかった。
 今はソルミをはじめクラスメートを心から助けてあげたかった。
 そして、進んで彼らに協力を求めたい思いだった。
 一幅の絵のように優美な新校舎を目の前にして、僕は友達にこう呼びかける自分の姿を描いてみた。

 チュンミン:みんな、力を合わせて必ず最優等生クラスを作りましょう。

 こうして始まったその日のことを僕は永遠に忘れられない。
 ソルミやチョルミョンのようなクラスメートがいなかったら、僕は一生を通して自分を責め続けていたに違いないだろう。
 ありがとう、いとしい学友たち。
 まさにその日、敬愛する金正恩総書記は新築されたピョンヤン教員大学を訪れたのだった。長い時間をかけて、大学の各所を詳しく見た総書記はとても満足した面持ちだった。
 朝鮮労働党がもっとも重視する大学!
 これが金正恩総書記がピョンヤン教員大学に与えた高い評価で、大きな信頼だった。
 人材強国、教育強国につながる早道が他ならぬここから始まる。
 新しい世代に対する教育の成敗も他ならぬこの大学によって左右される、正に、この大学から・・・
 総書記がプールを見るときのことだった。
 学長が、大学生の中には、総書記にあって愛情こもる記念写真を撮った元女性兵士たちもいるが、海岸砲兵出身なので泳ぎでは男子学生たちに勝るとも劣らないと誇らしい口調で言った。
 そうですか、それは本当にいいことですね、と言い、歩みを止めた総書記の顔は喜びで一層明るくなった。
 前線視察の道で会った若い女性兵士たちの姿を思い起こしているのか、総書記は暫くの間、波のような起伏を成した爽やかな感じのプールの天井を眺めていた。
 波打つ海、小躍りして喜ぶ女性兵士たち、その中にソルミの丸い顔も見える。
 総書記は学長に、みな勉強はよくできるのかと聞いた。
 みな成績がよいとの学長の答えを聞いた総書記は再び歩き出した。
 総書記は、成績がいいと聞いて安心した、みな最優等生にふさわしい女性たちだ、けれども、教員大学の学生の本当の成績は今日でなく、近づく未来が採点するものだと言った。
 またもや歩みを止めた総書記は随行した幹部たちを見回した。
 古参の党活動家もいれば、階級の高い将官もいた。
 一時は彼らも小学校の小さな校庭で先生の書く黒板の字を読みながら将来を描き出したにちがいないだろう。
 総書記はその人たちに、私がこの前の少年団大会のときにも言ったことだが、これから30年ほど後にはきっとその幼い児童たちがわが革命の根幹になるはずで、あなたたちのように私と一緒に働くことになるだろう、そのとき、国のために大役を果たしているそんな人たちに私はわざわざ会いに行ってでも聞くつもりだ、あなたたちの小学校時代の先生はどなたなのか、と、その人たちの口からここピョンヤン教員大学の卒業生たちの名前が聞けたら、それに勝る喜びごとはないと思う、これがピョンヤン教員大学に対する私の理想だと言った。